No.48 デイサービスをいよいよ前向きに検討している
「お母さんが家から出なくなってしまって、どうしたものかしらねぇ」食事の手を止め、夫が私を見つめる。「ここ数年、足腰が随分弱っていたからなぁ。外に出たくない気持ちも分からなくはないけど」でも1日中テレビの前に座って日を送る生活が良いものだとはとても思えない。私や夫以外の誰とも口を聞くことなく、これから過ごしていって良いわけがないのだ。
そのことをお隣の奥さんに相談したら、デイサービスを勧めてくれた。送迎してくれて食事や入浴、レクリエーションなどのサービスが受けられるのだという。「利用している人たちもいるから、お友達も出来るわよ。それにあなただってお母さんが心配で外出も出来ないようでは、それこそ親子そろって引きこもり生活じゃないの。それはダメ」確かに、それはそうなのだ。別に呆けているわけではないから徘徊などの心配があるわけではないけれど、留守中に怪我でもしないかと気が気ではなかった。
結局、いくつかの施設を見てお母さんに選んでもらうことにする。もちろん私も同行するつもりだ。最初はイヤがるかもしれないが、今の状態をお母さんだって楽しんでいるはずがない。今日これからお母さんに相談してみよう。「家の父がね、足を骨折してからやっぱり外に出なくなってね」彼女のお父さんなら、つい先日も行き合ったが元気に庭仕事をこなしていたけれど。「それでデイサービスを勧めたの。簡単にでも健康状態をチェックしてくれるし」それは安心だ、素人には分からないことも多いだろうから。「そうしたらお友達がたくさん出来て、しょっちゅう家に遊びに行ったり出かけたりしてるわよ。少しはゆっくりと落ち着いて欲しいくらい」
母は渋々承諾してくれた。明日、良さそうな近場の施設を見学に行こう。お隣のように気の合う友達がたくさん出来ればいいが。今までの生活が嘘のように、元気で活発になってくれたらどんなにか良いだろう。明るくて幸せそうなお母さんの姿が見たい、ただそれだけなのだ。